みなさんは「無防備地域宣言」と言う言葉を聞いたことがありますか。戦時の人道ルールを定めた国際法、ジュネーブ条約に示されているもので、軍事施設がない等の一定の条件をクリアした地域を攻撃することを禁じたものです。 この無防備地域宣言を日本全国に広げていこうと活動される、無防備地域ネットワーク市民の会の機関紙に原稿を書かせていただきました。
基礎自治体の最も重要な責務は、地域住民の生命・財産を守る事です。 その為に欠かせないのは、平和。しかし今、自治体に対する戦争準備の押し付けが止まりません。 高槻市では昨年12月議会、12518筆の署名による直接請求で「高槻市無防備・平和都市条例」が審議されました。高槻市から無防備地域宣言の輪を広げようというこの運動は、地域住民の中にも賛否両論の大きな論議を巻き起こしました。 私は、この条例案に賛成の立場で議会審議に臨みましたが、結果は、防衛に関することは国の専管事項だ、と言った声や、実現性に乏しい、と言った声が大きく、残念ながら否決となりました。しかし署名運動や様々な場での議論を通して、平和とは、自治体の責務とは、と言った問題を多くの高槻市民が真正面から考える恰好の機会となりました。 一転今年の3月、高槻市も含む、全国の自治体では一斉に国民保護計画策定の為の審議会の設置条例が審議されました。 90年代後半の日米新ガイドラインの議論から始まった、一連の有事法制の仕上げともいえる国民保護法は、自治体、地域住民が戦時体制に組み込まれていく、そんな法律です。各自治体に国民保護法に基づくそれぞれの地域に応じた国民保護計画の策定が求められています。しかしこの計画を作るにあたって、市民やその代表の議会が事実上内容に一切タッチできないばかりか、審議委員を選ぶ事も出来ない。地域住民の声を無視した中で具体的戦争準備が粛々と進められているのです。 着々と進められる戦争の出来る国づくり。この流れを止めて変えていくためにも、今こそ声をあげること、平和をつくるアクションが必要。無防備地域宣言の運動が全国的に広がっていったのは必然と言えるのではないでしょうか。 運動を根気強く続ける事、そして無防備地域宣言の運動だけに完結してしまわずに、様々な動きと連携してネットワークを結び、また国会や地方議会での有事関連法の議論の動きなどともリンクした動きをとる事で、益々この運動の存在感が増していくことを願います。 平和をめぐる今後の最大の焦点と言えるのが憲法をめぐる議論。平和憲法の象徴とも言える第9条改変を焦点にした国民投票についても既に論議が始まっています。その流れに対抗するには、9条を活かしいかに平和をつくっていくか、能動的な運動が求められています。戦争放棄をうたった9条の具体化策としての無防備地域宣言。世界に先駆けて日本から実現していく事が出来れば素敵です。平和をつくる。混迷を極める世界にあって、アメリカの覇権主義と歩調を合わせ戦争のできる国へと進み続ける日本にストップをかけるべく、みなさん一緒にがんばりましょう。
地域から平和を発信。
高槻市議会議員 野々上 愛
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