2024年12月16日
民主ネット大阪府議会議員団
代 表 野々上 愛
幹事長 山田けんた
大阪府議会令和6年(2024年)11月定例会における
民主ネット大阪府議会議員団採決態度について
11月定例会では、昨年度の決算審査、補正予算、請願等の審議が行われた。それぞれの議案の採決に際しては、本来であれば本会議での討論を通じて会派の態度を明らかにするところであるが、全国的に見ても極めて異例の、少数会派に討論を認めない大阪府議会の運営により、当会派は発言機会がない。本来であれば本会議で行われるべき討論であるが、会派声明という形をとり公表するものである。
【賛成】令和6年(2024年)度大阪府一般会計補正予算(第4号)人事院勧告の実施に伴う給与改定
大阪府職員の給与改定に伴う条例改正及び、補正予算約169億円(主に警察・教員の給与改正分。一般職等に係る補正予算は二月議会提案予定)である。府行政職の月給の公民較差は11,693円(2024年度4月時点)あり、大阪府人事委員会勧告に応じて、4月に遡り是正される。大阪府では人事委員会勧告に応じた給与改定がなされないこともあり、本会派は勧告に応じた改定を求めてきた。
今回の改定では、初任給の月給が23,800円(大卒)と大幅な引き上げとなる一方、40代後半が属する号給以上は、一律3,300円の引き上げに留まり、物価上昇率に及ばない賃上げ率となる職員も多数いる。また、非常勤職員に係る給与改定は、常勤職員の初任給の大幅な給与改定に伴い増額の見込みであるが、常勤初任給が上限とされている非常勤の給与体系については依然として抜本的な見直しが必要である。
【賛成】令和5年(2023年)度大阪府一般会計決算報告の件(12月9日採決分)
令和5年度決算報告については賛成であるが、決算審査を通じて当初予算等の課題が明らかとなった。大阪府では、私立高校に対して国の支援金に加え147億円の授業料支援補助金を交付している一方、府立学校校舎については、建築基準法に基づく点検で2万4千件余りの改修必要項目があることが当会派の委員会質疑を契機に明らかとなった。万博や教育無償化等の目立つ事業の裏側で、トレードオフ的に投資が抑制されている分野で問題が顕在化してきている。
小規模事業経営支援事業費補助金については、国が地方交付税算定に組み込んでいるが、大阪府では基準財政需要額に対して16.5億円の予算減額を行っている。さらに、その予算制約のため、支援実績に応じた補助金申請額に対して交付実績が3500万円少なくなっており、商工会・商工会議所に負担を負わせている。人手不足が深刻化している中、IT導入等省力化への取り組みが必要であるが、小規模事業者への支援が不足していることが懸念される。
環境農林水産部の都市緑化を活用した猛暑対策事業は、決算額約7億4千万円であった。本事業は府民均等割り年間300円の超過課税である大阪府森林環境税を財源にしており、また、異例の事業費100%補助を行っている。補助交付対象は先着順であり、補助金活用地域の偏りや、その費用対効果については事例を見ても納得感に欠けるものも散見される。府民に超過課税を課した財源であるということを自重し、森林環境税が本来目的とする事業に再構築すべきである。
【一部賛成】請願第16号 性暴力救援センター・大阪SACHICOの存続と体制強化を求める件
今議会に、性暴力救援センター・大阪SACHICOの存続と体制強化を求める請願が提案された。
2010年運営を開始した大阪SACHICOは、これまで多くの性犯罪被害者の救援に、医療面のみならず、法的支援、メンタルケアなど息の長い取り組みを続けてきた。ところが、設置されている阪南中央病院から今年度末をもって退去することとなり、その存続をめぐり、これまで大阪SACHICOを利用した当事者、家族をはじめ、多くの支援者から存続を求める声が上がり、署名活動など広範な市民社会の動きを受け、府議会でも多くの会派、議員が取り上げるに至った。当会派も多くの関係者の皆さまと貴重な意見交換を行う場を得た。
今回の2つの請願項目からなる。
1つは、SACHICOの活動拠点を大阪府の責任において確保し、運営費用の保障を求めるものである。この請願項目には当会派としては賛成の立場をとった。
性暴力・性犯罪者支援事業は、都道府県の役割である。これまで全国に先駆けた取り組みとして大阪SACHICOの存在は、その名を轟かせてきたが、一方で、センター運営の医師、支援者の献身的な努力に頼る体制で、大阪府の関わりは補助金の支出など限定的であった。府としての主体的な運営に向けて、取り組みを強化する余地が大いにある。今回の事案を契機に、より安定した性暴力救援センターの運営に向け、府の委託事業とするなど、責任を持った体制を構築していくことが重要であると考える。
2つは、公的病院を拠点とするワンストップ支援センターの設置を求めるものである。この点については、現時点の大阪府内の公立、公的病院で十分な体制が確保できるかは不透明であり、今後の課題として病院拠点型のセンターの検討は否定しないが、まずはこれまで大阪SACHICOが積み重ねてきた知見と機能を継続する体制を、速やかに構築することが重要であることから、賛成しかねるものである。
結びに、大阪SACHICOをめぐっては、この間の多くの府民の皆さんの取り組みがあってこそ、府議会でも会派を超えた重要課題として認識されるに至った。署名された48,464人の皆さんに最大限の敬意を表すとともに、今後の機能強化に向けて、当会派としても全力で取り組んで行くものである。
以上
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大阪府議会 民主ネット大阪府議会議員団
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